派遣留学生・福田涼さんインタビュー!(後編・留学中「ここで生きていける」と思った瞬間)

前回に引き続き、2016年度派遣留学生(派遣先:メキシコ・グアダラハラ大学)、福田涼さんにインタビュー!今回は、福田さんの語学学習方法や就職活動について、留学を経て大切だと思ったことなどをお伺いしました。

まだの方は、ぜひ前半からお読みください。

Q 語学力はどれくらい身に付きましたか?


留学前に逐次通訳できるといわれているレベルの資格(DELE B2※)を取っていて、授業を聞くことには問題がなかったのですが、最初はディスカッションに入る余地がありませんでした。周りはみんなネイティブなので、考えずにベラベラしゃべるのが当たりまえ。議論を止めて、白けた所で発言するしかない、みたいな(笑)。

専門的な話をする時には用語に苦労しました。日本語でもわからない単語が出てきたりして。意図せずに入ったグラフィックデザインの授業では、まず紙の名前が分からず、15種類くらいある紙の名前を覚えることから始めました。また、同じスペイン語でもスペインとメキシコでは使っている語彙が違うので、たまに伝わらずに困りました。例えば、「バス」はスペインでは「アウトブス(autobús)」なのにメキシコでは「カミオン(camión)」。でもスペインで「カミオンで来た」と言ったら、「トラックで来た」ということになってしまいます。通じないし、笑われることもありましたね。「お前、どこでスペイン語覚えてきたんだよ」って。

でも今はスペイン語で考える実力がついて、特に専門性の高いことでなく基本的なことであれば、もう何でも話せます。帰国後、「メキシコ訛りが強くなったね」と言われます。「結構メキシコっぽいね」と。メキシコのスペイン語は標準的な発音をするといわれているので、「訛り」だとは自分では思っていないのですけど・・・、でも、嬉しいですね。

(※)DELE:日本では、セルバンテス文化センターが実施している
   スペイン語検定試験。

          レベルは、A1(入門)、A2(初級)、B1(中級)、
   B2(中上級)、C1(上級)、C2(最上級)の6段階がある。

Q 高いスペイン語運用能力を身につけられた、福田さん。

そこに至るまでの、学部での語学の勉強はどうされていましたか?

学部では、語学の授業が週に3・4回ありましたが、元々語学を学ぶために勉強するのが好きではないので、嫌いな文法などはささっと終わらせてしまって、あとは楽しみながら身につけたいと思っていました。スペイン語圏のイベントに出かけてネイティブの友達を作って話すとか、映画やドラマを観て、耳を鍛えるとか。
読書も好きなので、今も一冊持ち歩いていますが、スペイン語の本を読むのもそうです。語学は勉強するものではなく、コミュニケーションのツールだと思います。勉強だと思うと面倒くさいし、やる気も出ないけれど、こんな風に日常生活の中に取り入れるとどんどん楽しめます。

Q メキシコで就職の予定だそうですが ?

実は、物心がついた頃から海外で就職することが夢でした。派遣留学するからにはそこで就職するということを大きな目標として掲げていました。
とても幸運なことに、今のメキシコは、ちょうど日本の企業が進出を始めたところです。アジアにはすでに進出していますが、今、まさに進出し始めているのは貴重だなと思って。先日、ブラジルに進出した日本の飲料メーカーが撤退したというニュースがありました。現地の信頼を勝ち取り、そこに定着するのは難しいことです。2020年にはこの進出ブームが終わっていると言われているので、まさにこの時期に、そこで働けるというのはめったにないチャンスだと思っています。

Q どのようなお仕事ですか?

ロボット関連の日系企業の現地法人です。半分、日本語・英語・スペイン語の通訳と翻訳を行いつつ、技術的な業務内容もあります。まさに国際文化学部の情報文化コースで4年間学んだ内容がそのまま生きてくる就職先だなと思います。

Q 向こうでの就職活動はどういったものでしたか?

書類と1~2回の面接だけで決まります。日本では3次・4次面接が当たり前ですが、それに比べると短期決戦です。内定というシステムがなく、決まったらすぐに仕事が始まります。日本での中途採用のようなイメージですね。

Q メキシコへ「戻りたい」ですか?

日本は物価が高いので、生活できない。帰国してからは、アルバイトをしていないので親に頼らないと(笑)。留学中、最後の2か月はずっと日本に帰りたいと思っていました。日本食がすごく恋しくなっちゃって。

メキシコで出会った日本食(マグロが乗った海苔巻き)

向こうにも「日本食」はあるのですが、やはり何か違います。ラーメンのスープがとても美味しいのに、麺が恐ろしく不味くて、仕方なくスープだけで我慢したり、海苔巻きにマグロが乗っていて、醤油の代わりにゴマ油の入ったソースだったり。何にでも、アボカドやチリが入っています。風邪をひいたときにはお腹にやさしいうどんを食べたい。チリじゃないんだよって(笑)。
でも、日本に帰ってからは、またすぐにメキシコに戻りたくなりました。これからメキシコが主軸となって、年に一回くらい帰国して日本食を食べて、友達や家族に会えればいいかなと思っています。

Q 福田さんにとって「あそこがあったから、今の自分がいる」という場面や場所は?

一つ目は、派遣留学で空港を出る時、飛行機に乗った瞬間。それまでも何度も飛行機には乗ったことがありますが、これから10か月間日本を離れなきゃいけないという気持ち。期待もあり、不安もあり、席に着いたとき、それを強く感じましたね。

二つ目は、場面とか場所ではないのですが、現地での友人です。なんでも相談できて、信頼できる特別な友人が出来た時。留学に行けば自然と友達はできると思いますが、不特定多数でなく、難しい話や色んな話ができる親友が出来た瞬間、「ここで生きていける」と思えました。この写真の二人ですが、キャンパスが変わって、一旦離れてから2・3か月ぶりの再会の時のものです。

Q 留学を経て大切だと思ったことは何ですか?

色々と経験している人が皆、言っていることだと思いますが、結局、最後は自分 。メキシコは他の先進国などに比べると貧しく、大変な国です。それでも僕としてはメキシコでしかできない経験が出来たと考えています。苦しくても、色々ハプニングがあっても乗り越えられたのは、留学を申し込んだ時に決めていた目標や思いを忘れないで過ごしてきたからだと思います。これから留学に行く方々へ向けてのメッセージとしては、なんとなくではなく、明確な目標を4か月なり、1年なり持ち続けて、最後まで頑張って欲しいなと思います。

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